此花 全22冊揃(合本甲乙丙丁4冊・1枝〜21枝+凋落号)和綴合本 明治43〜45年 1号、2号下方に水シミあり たまに印 宮武外骨編 雅俗文庫

たいへんおもしろいです。
「エェマア、ぶしつけな、鏡と相談して来やれ」
最終号。「此花の廃刊にちなみて自殺の死絵を出す」
元文5年の頃、佐野川市松といふ役者が、楠正行の役に、石畳み模様の社裃を着けて出演したので、當時大好評を博して、その後は石畳み模様を「市松」といふに至つたのである(略)文化の中ごろには江戸市中市松模様の衣服を着ない者は無い程の流行であつたが、その頃、市松会といふのを催して、衣服に限らず(略)図の如く市松形に剃落して
「ものを云ふまいものいふた故に父は長柄の人柱」
(略)元祖尾上梅幸女房おとよは頗る美貌なりしが玉に瑕は鬢のあたりに禿あり、其醜きを隠さんが為に、常々櫛を横にさして居りたりしが、其さま意気に見えけん、役者の女房を初として、芝居茶屋の女中等までこれを真似て(略)いづれの女を見ても横櫛ならぬはなく、たまたままともに櫛を挿せる者あれば、田舎者と嘲る程に流行し、