古本屋さんのこと

今日は、おなじみの方と新規の方と出張買取へ行きました。

車1台分の中に、すばらしい1冊がありました。

閉店間際に、以前仕入れた渾身の1冊が売れていきました。

このようにして、2万5千冊の内容が、すこうしずつ毎日変わっていきます。



お客様の多い時間と少ない時間があり、また、

棚がしばらく動かないときと、ぐぐっと動く瞬間とがあります。

1日のあいだで、1ヶ月のあいだで、1年で、

肉眼ではみえにくいほどの速度であることも多いですが、確実に変化しています。



全体としてみると静かなのですが、その動きを注意深くみていると、それは、

ほんとに芝居や、または空の変化をみているように、繊細かつダイナミックなものです。



去年出た本も、100年前の本も、おなじ空間に並んでいます。

店側のひとは、裏方として、世話役として、

本の持つ固有の速度と息をあわせて、本の持つ固有の時間とつきあっています。



本はだまっていますので、お客様の能動的な目線を必要とする、大人の遊び場です。

古本屋は、本が主役の舞台です。路面店は、ライブです。



本を買ってしばらく持っている、それをまた古本屋に売る、これも本を保存する行為です。

仕舞込むのではなく、互いに投げ合うことが同時に保存になっています。

お客様の本の売り買いで古本屋の棚が変化し、その変化で古本屋が成り立ち、

さらに見知らぬ方同士のやりとりのお手伝をすることができます。



どうぞ足をお運びください。

ライブを楽しんで、そしてライブに参加してください。



おわり。